7月。東音ホールにて初の公開録音コンサートを行いました。
ピアノ愛好家であれば聞いたことのあるギロック。子供向けのピアノ作品を沢山残したアメリカの作曲家です。
私が小学生のころはバイエル、ハノン、チェルニー、ブルグミュラーを弾いた後、ソナチネに入ったのですが、このソナチネに対して「固い型に嵌(はま)った音楽で、弾きにくいな。難しい。」という感覚がつきまとっていました。
違う言い方をすれば、初心者を卒業して次のレベルに入ったのだ。と嬉しい気持ちもあったのですが、自分の譜読みや分析力が追い付かず、レッスンでの進み具合ものんびりしたものになりました。
それから数十年。教えるという立場になった今、発表会やコンクールでギロックの作品を耳にする機会が増えました。彼の作品にはあらゆる時代(バロック時代から近現代まで)の形式や特徴を取り入れた、子供が弾くのにほど良い短さの作品が多く存在することを知りました。
もしこれらの曲がブルグミュラーやチェルニーを弾いている時期に取り入れられたら、子供たちの譜読みや分析力の向上に繋げられるのかもしれない。
そして、教えるにはまず自分が弾いてみないと分からないこともあり、公開録音コンサートという形で舞台まで用意していただくことになりました。
ただ弾くだけでは伝わらないので、説明をしながらのレクチャーコンサート。しゃべりと演奏の繰り返しで頭が沸騰しそうでした(笑)
お陰様で終演後のアンケートも優しいご意見をいただき、ほっと胸をなでおろした次第です。やはり生演奏ですから、お客様からの空気感も大いに影響を受けるものです。
実際、各時代ごとにギロック作品を弾かせて頂くことでギロックがメッセージを伝えてくれる部分がより鮮明に分かりましたし、教えるときのヒントが増えました。
今後、映像が配信される予定ですので、宜しければどうぞご覧になってください。